yamasan-sy’s diary

将棋や資格取得、資産運用などについて、書いていこうと思います。

級位者の方が将棋アマチュア初段になるためにやるべきこと 終盤編

今回は終盤について話をしていきます。

終盤はまさに斬るか斬られるかの段階で、1手のミスで形勢が大きくひっくり返ることも多いです。また、自玉も攻められている場合は、攻めるか守るかの判断もしなければならず、踏み込んだ結果反撃を食らってしまったり、弱気を出して守りの手を指した結果チャンスを逃したりすることもあるでしょう。

そんな終盤について、勉強の仕方や考え方を、僕なりにまとめてみました。たぶん無茶苦茶長文になりますが、よければお付き合いください笑

1.終盤の勉強法

まずは、終盤の勉強法をいくつかご紹介します。

詰将棋

終盤の勉強と聞いて、100人中100人、なんなら150人くらいの方がまず思い浮かべるのが詰将棋だと思います。実際、これをやるかやらないかで随分違いが出ると思います。

詰将棋の具体的な効果としては

(1)読みのスピードが速くなり、かつ正確に読めるようになる

(2)相手玉が詰むか詰まないか、なんとなく分かるようになる

(3)自玉の詰む詰まないも少しずつ分かってくる

などが挙げられるでしょうか。

簡単に補足すると、(1)については、アマチュアの将棋は対局時間が短く、特にウォーズなどは切れ負けという訳の分からん…もとい、シビアな時間設定になっていますので、読みの速さ・正確さは重要ですね。

(2)は直感的な部分の話で、やはり大切なことです。最終盤で相手を詰ますか自玉を守るかの選択を迫られた時に、詰みそうと思えれば踏み込めるからです。また、直感的な部分ではありますが、詰将棋を沢山解くことで、直感の精度は上がっていきます。

(3)については、自玉の安全度が分かれば、攻めるか守るかの正確な判断が可能になります。例えば自玉がまだ詰まないなら、相手に詰めろをかければ良いわけですし、自玉が次に詰むならば、受ける必要があります。終盤は1手で勝ち⇔負けがひっくり返ることもあるので、安全度の判断は大切です。ちなみに、恐らくこの辺りの正確さが1番優れているのは藤井三冠だと思います。

 

補足:詰将棋は何手詰を何問解けば良いか。時間は測るべきか。

補足として、この2点について述べておきます。

まず、手数と問題数は、5手詰を1000問~2000問になるでしょうか。同じ問題集を最低3周は回すと良いでしょう。

また、時間は測るべきだと思います。最初は測らなくても良いですが、2周目以降は意識してみましょう。時間を測ることで集中して解くようになりますし、時間がなくて焦る状況下で正確に読む訓練になります。具体的には、1問1分以内の回答を目指してみましょう。

 

②(余裕がある方は)寄せの勉強

余裕がある方は寄せの勉強もすると良いでしょう。寄せというのは、ざっくり言えば王様を追い詰めていく段階のこと。相手も必死に粘る中で、どう寄せていくか。

寄せを勉強するなら必至問題を解くのが一般的です。ただ、必至は詰将棋と比べて難易度が高いので、解くとしても1手必至で十分でしょう。詰将棋は5手、必至は1手です。

 

③(死ぬほど余裕がある方は)受けの勉強

受けが強くなると、相手の攻めを遅らせたり、粘って相手のミスを誘ったりすることが出来るようになります。ですが、受けは寄せ同様に難しく、例えば有名な金子三部作の中でも、凌ぎの手筋の難易度が最も高いです(凌ぎの手筋のみ、対象が初段~四段)。

という訳で、本当に余裕のある方のみ、受けの勉強をするのが良いと思います。

2.終盤で心がけたいこと

次は終盤の考え方をいくつか述べていきます。

①攻める場所を意識する

こちらの図をご覧下さい。これは将棋アプリの実際の対局で、1級の方同士の1戦です。

先手が▲3二龍としたこの局面。後手はここで△1八ととしましたが、この手は評価値的に-1000ほど形勢を損ねてしまう手だったようです。何故でしょうか。それは、攻めてる場所が違うからです。

実戦は△1八と、▲4三歩成、△同角、▲同龍、△1九と、▲4一龍、△5一香と進みました。

1八とは香取りですが、この香車を取られても先手はビクともしません。対して4三歩成は角取りで、後手の美濃囲いに直接響く手です。同じ歩を使った1手でも、価値はまるで違うのですね。果たして▲4一龍と入った先手は次に▲6二金から▲7一角を狙っており、後手はそれを防ぐために、折角取った香車を打たなければなりませんでした。

図は先手有利の局面で、次に▲4三角と金に狙いとつけてもよし、落ち着いて▲4五龍と銀を取ってもよしでしょう。

戻って初めの図では、後手は例えば△4六銀と指したいところでした。▲同銀なら△同飛が金に当たりますし、敵陣に近いところを攻めていますね。また、▲同銀に代えて▲6六銀とかわせば、△5四角と龍に当てつつ4三の地点をカバーすれば良いでしょう。

このように、より相手の囲いに響く攻めを意識することは大切です。

 

②囲いの弱点を知っておく

終盤はある意味、囲いの崩し合いです。問題は、具体的にどう崩していくか。

玉のそばにいる金をまず攻めるということはどの囲いにも共通していますが、それとは別に、囲いごとの弱点を知ると、囲いを攻めるのにも、また自分の囲いを守るのにも役立ちます。

例えば美濃囲いならば、端が1つの急所となります。

中途半端な部分図(自玉を消したかったのですが、消せませんでした^^;)で恐縮ですが、ここから▲9五歩、△同歩、▲9三歩、△同香、▲9四歩、△同香、▲8六桂が有名な端攻めです。桂と歩が2枚あったら端攻めです

また銀冠ならば、玉頭の銀を狙うのがポイントになります。

こちらも自玉は目に入れないようにしてください(笑)。ここから▲2五歩、△同歩、▲2四歩、△同銀、▲2三香と打てば、相手は対応に困ります。△同玉は▲2一飛成、△同金は▲4三飛成があるからです。

 

このように、どの囲いにも弱点はあり、そこを攻めていくことが効率の良い攻めになります。

③受けの格言も覚えておく

概論編では受けについて触れていませんが、かといってノーガード戦法を取るべしと言っているわけではありません。本格的に受けの勉強をする必要はないと思いますが、ノー勉もオススメ出来ない、ということです。

そこで、ここでは初段を目指すうえで押さえておきたい受けの格言を2つ紹介します。それは、金底の歩岩より堅しと、大駒は近づけて受けよ、です。

金底の歩はよくご存じだと思います。この金底の歩は、香車や歩で上から攻められると弱いですが、香車や歩の攻めであるためスピードがなく、その間に反撃することが出来ます。

大駒は近づけて受けよについては、こちらの局面図をご覧ください。なおこの局面図は、後述する木村一基先生の著書から拝借しました。

この局面、先手は次に△7八飛成とされると、▲9七玉に△9五歩で受けがありません。従って受ける必要があります。しかし、どう受ければ良いのか。

正解は、まず▲6八歩と打ちます。△同銀成としますが、そこで▲3二金と金を入手します。△同金には▲6八金と成銀を取って、△同龍に▲7八金と打って龍をはじくことに成功します。

 

3.終盤の勉強にオススメの棋書

最後に、オススメの棋書を紹介します。「この辺りをやってけば初段は堅いのではないか」と思ったものを5冊ほど挙げてみます。

①ハンドブックシリーズ

詰将棋と言えばハンドブックシリーズ。お馴染みの1冊ですね。

対象レベルとしては、体感で3手詰は2級まで、2級~初段までが5手詰、といったところでしょうか。次に紹介する〇手詰将棋と比較して難易度は難しめで、問題にも特徴があります。ハンドブックシリーズは、あまり駒を取らないですし、「あ!こんな手があるのか」という爽快感を得られます。対して〇手詰将棋シリーズは、実戦形であることが最大の特徴で、故に駒も取りますし、なんというんでしょうか、露骨な手が多いです。

②〇手詰将棋シリーズ

こちらも有名な詰将棋本ですね。対象レベルとしては、3級~1級が5手詰、3級以下は3手詰でしょうか。難易度はハンドブックに比して易しめですが、僕はこちらのほうが好きで、本シリーズの3手詰から9手詰まで全部解きました。特に5手詰と7手詰は10周は余裕で回したと思います。あと、地味にコスパが良いです笑(1100円で202問。ハンドブックは1320円で200問)。

③寄せが見える本(基礎編)

左右からの挟撃や、打った駒を捨てて必至をかけるなど、様々な寄せ方を学べます。寄せに関しては寄せの手筋200が有名ですが、こちらはあくまで問題集といった位置づけでしょうか。対して、寄せが見える本は教科書だと考えているので、1冊目に勧めるなら本書です。

④全戦型対応対応!囲いの破り方

相手の囲いの弱点を知ることの重要性は先ほど述べました。ということで本書が選択肢に上がってきます。本書では、美濃、矢倉、穴熊を軸に、舟囲いや銀冠など、実戦で出現する多くの囲いの破り方を、問題形式でまとめています。

木村一基の初級者でもわかる受けの基本

受けを学ぶなら本書がオススメです。序盤・中盤・終盤ごとの受けを丁寧に学べます。初級者とある通り概ね易しい内容ですが、↑に示した局面図のように歯ごたえのある問題もあります。体感ですが、5級以上の方にオススメです。

 

以上、5冊ほど挙げてみました。この5冊、特に①or②+③をやって貰えれば、終盤に関しては十分初段の力が付くと思います。

 

おわりに

概論編から続いたシリーズ(?)も、今回で終わりとなります。繰り返しになりますが、僕が思う方法や考え方をまとめたので、再現性があるかは分かりません。ただ、少なくとも僕はここまで挙げてきた方法や書籍で勉強して、初段になることが出来ました。1つの経験談・考えとして、少しでも誰かの参考になれば幸いです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました(^^)

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