級位者の方が将棋アマチュア初段になるためにやるべきこと 序盤編
今回は前回に続いて、アマ初段になるためにやるべきこと(序盤編)について書いていこうと思います。
はじめに 序盤とは
将棋には、おおきく序盤・中盤・終盤という3つの段階があります。このうち序盤は、戦いが起こる前の準備段階と捉えて貰えたらOKです。攻めの形、守りの形をしっかりと整え、来る戦いに備えるというのが、序盤でやるべきことになります。
とはいえ、何も考えずに歩をズンズン突き出していくとか、とりあえず金と銀を王様にくっつければ良いわけではありません。本記事では、序盤の考え方や勉強法、オススメの戦法について述べていこうと思います。
1.序盤の考え方
さきほど、何も考えずに駒を動かしてはダメ、と言いました。では何を考えて動かせば良いのでしょうか。僕が思うところをまとめます。
①ヒモをつけながら駒組みをする
これは言い換えれば、”ある駒が取られた時、別な駒で取り返せるようにする”ということです。下図をご覧ください。
開始早々、先手は大ピンチを迎えています。相手が飛車先の歩をついてきたので、それを防ごうと銀を上がったのですが、この瞬間角の”ヒモが外れて”しまいました。もしお相手に△8八角成とされると、これはもうゲームセットです。
ここは銀ではなく▲7八金と上がるべきでした。これなら△8八角成には同銀と取り返すことが出来ます。これは最も分かりやすい例の1つですが、ヒモを意識しないと大惨事につながってしまうので、意識しながら駒組すると良いと思います。
②端歩はとりあえずついておく
例外はありますが、基本的に端歩は序盤でついておきましょう。玉の逃げ道が広がります。
③桂馬の扱いに注意する
桂馬の高跳び歩の餌食という、有名な格言があります。桂馬は後ろに下がれないので、ぴょんぴょん跳ねてしまうと、相手の歩であっさり取られてしまうことがあります。
桂馬は上手く使えれば相当優秀な駒なのですが、扱いは難しい駒なので、跳ねる場合はうっかり取られないように注意しましょう。
④歩の上に駒を置かない
これは、特に攻めるときに大事なことです。図をご覧ください。
先手は飛車を動かし、3四の歩を狙っています。しかしこれは△3三銀で効果がありません。次に▲5六飛として5三を狙っても、△5二金などと守られるとどうしようもありまっせん。
一方、こちらはどうでしょうか。
相手が無防備だったこともありますが、先手は次に▲2四歩を狙っています。△同歩▲同銀となれば成功です。そして、歩と銀の後ろでは飛車という大砲が控えていますね。このように、弱い駒が前、強い駒が後ろが基本です。
2.序盤の勉強法
勉強法の話に移ります。序盤の勉強とは、ズバリ戦法を勉強することです。戦法書を買って勉強するのが基本ですが、具体的にどのように勉強すれば良いのでしょうか。
①まずはざっと棋書を1周読んでみる
1周目から定跡を覚えられる超人はほぼほぼ居ません。いきなり気合を入れて覚えようとするとしんどいですし、それで覚えられれば良いですが、実際は覚えられません。大まかな方針(例:振り飛車は美濃囲いに囲い、飛車先の歩交換は角で守る。)くらいは頭に入れつつ、覚え始めるのは2周目以降で良いと思います。
②(2周目以降)できれば盤に並べて勉強する
頭で駒を動かして覚えるのも良いですが、できれば盤に並べて覚えて欲しい、と思います。俗にいう”身体で覚える”みたいな意味があります。
③インプット→アウトプット→インプットを意識する
せっかく勉強して定跡を頭に入れても、実際にそれが出来るかはまた別の話。定跡書を区切りの良いところまで読んだら、ぴよ将棋辺りを相手に実践してみましょう。すると、結構抜け落ちていることに気づくと思います。
その記憶があやふやな部分を、対局後棋書で確認します。人間は間違えた問題のほうが印象に残ると言いますので、この作業は効果があると思います。
勉強でもそうですよね。英文法を1単元勉強したら、練習問題を解き、答え合わせと復習をするはずです。定跡の勉強も同じサイクルで良いと思います。
④1冊目にオススメの棋書は”指しこなすシリーズ”
数多くの棋書が出版されていますが、1冊目に読むべきは指しこなすシリーズ一択だと思っています(当然異論はあると思います )。その理由は以下の通りです。
1.1ページで1手~数手しか進まないので、読み進めやすい(挫折しにくい)。
2.1手ごとに解説があるので、手の意味が理解しやすい。
3.問題形式なので、自分がどこが理解できているか(理解できていないか)把握しやすい。
棋書によってはいろいろな変化を載せているものも多いですが、1冊目としてはハードル高いと思うんですよね。また、1ページで何手も指し手がバババッと進むと、追っていくのも大変ではないでしょうか。少なくとも僕はダメでした。
初段は基本的なところをしっかり押さえておけば、到達できます。問題集でいうと基礎レベルが大事なのであって、応用レベルに手を出すべきではないと思います。だから指しこなすシリーズが良いと思うんですね。
僕の話をすると、僕は実質的に、初段になるまでは、ほぼ藤井猛先生の”角交換四間飛車を指しこなす本ばかり読んでいました。
僕はこの本をボロボロになるまで読みました。角交換四間飛車は相手が角道を止めると出来ないので、止めてきたときの対策に、途中から右四間飛車の勉強もしましたが、ベースとなったのは藤井先生の本でした。基礎を固めるには、指しこなすシリーズが1番良いと思います。
3.オススメの戦法
随分長くなってしまったので、ここは簡潔に述べたいと思います。ただオススメの戦法といっても、基本的には皆さんが好きな戦法で良いと思います。好きであることはそれだけで勉強するモチベーションになるので。と前置きしつつ、あえて言うならば、
1.自分から先攻することができ
2.王様をしっかり囲えて
3.駒組が分かりやすい
こんな戦法を選ぶと良いとは思います。具体的には、それこそ角交換振り飛車とか、右四間飛車とか、棒銀とかですね。
将棋は攻めより受けの方が難しいので、裏を返せば攻めてる方が勝ちやすいわけです。また、王様を囲うと強い戦いが出来ますし、駒組が分かりやすいと勉強の負担が減ります。
おわりに
長々とお付き合いいただきありがとうございました。どこまで網羅出来たか分かりませんが、思うところは述べられたかな、と思います。次回は中盤について述べていこうと思いますので、そちらもお読みいただけると嬉しいです。ありがとうございました!
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