yamasan-sy’s diary

将棋や資格取得、資産運用などについて、書いていこうと思います。

奇襲対策 パックマンにお困りの方へ

奇襲対策の3回目。今回はパックマン戦法を取り上げます。名前を聞くとなかなかにコミカルな印象を受けますが、奇襲というだけあって、対応を間違えると悲惨なことになります。また、序盤から大駒が乱れ飛ぶので神経を使う展開になりやすい、と言えるかもしれません。流れとしては、まずパックマンの成功例と、こちらの対応のどこに問題があったのかを見て頂きます。次に、対策方法をご紹介します。

 

パックマン成功例

まずはパックマンの狙い筋を、成功図を示して具体的に見ていきましょう。なお、成功例の棋譜は、いつも通りこちらの本から拝借しました。

 

水匠4の評価値とともに見ていくと、2手目△4四歩で先手に180点ほど触れています。いきなり歩を渡す手なので、取ると危ないのではないかと思わせつつ、3手目も▲同角が最善手で問題ありません。それが△8八角成とした局面では、後手に600点ほど触れてしまっています。どこがマズかったのでしょうか。

雲行きが怪しくなったのは9手目の▲6三馬からです(急に後手に200ほど触れる)。これは、後手からの△5七龍(王手馬取り)を警戒したものですが、実はそれほど脅威ではありません。一例として、▲6三馬に代えて▲7七銀と指して、後手が△5七龍としても、▲5八飛と対応します。以下△5六歩、▲4八金、△4六龍、▲4七歩、△5五龍、▲4三馬としておけば、持ち駒が歩1枚の後手に速い攻めはありません(先手400ほど良し)。しかし、何とも嫌な位置に垂れ歩があるので、あまり良い心地はしないかもしれません。

(図は▲4三馬まで)

成功例に戻ると、12手目の△5八歩が痛打で、どう応じても銀損が確定。馬の働きにも差があり、これはサレンダーが近いと言えるでしょう。

ここまでをまとめると、

1.2手目の△4四歩はいかにも怪しいが、取ってしまうのが最善。ただし、取ると乱戦は避けられない。

2.王手馬は警戒する必要はないが、気持ち的に良い展開にならない(ので、もっと早い段階で工夫できないか)。

ということになるでしょうか。

パックマン対策

次はパックマン対策を見ていきます。対策の方向性としては、大きく2つほどあるかなと思っています。1つは、王手馬を防ぐ順を選ぶ(ただ繰り返しになりますが、王手馬を喫しても悪くなるわけではありません。寧ろAi的には先手良しになります)。もう1つは、そもそもパックマンの歩を取らない(取らなければ乱戦にはならない)、です。順に見ていきましょう。

1.7手目▲4二馬

1つ目の対策は、7手目▲7七銀に代えて4二馬とすることです。つまり、飛車に成られなれければ王手馬の筋もないので、その飛車を取ってしまおうということわけですね。これは僕も実戦で指したことがある手です。よければこちらをご覧ください。

yamasan-blog-life.hatenablog.com

こちらの記事にも書いていますが、この対策のポイントは、△9五角に対して▲7七飛と受けることにあります。この手を指さないと、2枚角の攻めが受からないので、注意してください。

 

2.3手目に▲4四同角としない

これは、そもそもパックマンを拒否する指し方になります。拒否してゆっくり駒組を勧めれば、乱戦にはなりにくい、という理屈ですね。今回は一例として、右四間飛車をご紹介します。

相手が4四歩を突いてきたので、それに対応する右四間飛車の選択はあり得ると思います。18手目までを見ると、よくある右四間飛車四間飛車の序盤になっていますね。評価値は先手が100ほどプラスだそうです。

 

③まとめ

ここまで、パックマンの成功例と対策を見て頂きました。要約すると、

1.2手目の△4四歩は同角が最善。ただし、取らずに駒組を勧めてもOK(パックマン拒否)。

2.同角とした場合は乱戦になる。王手馬を恐れる必要はないが、気になるなら7手目は▲4二馬と飛車を取ってしまう。ただしその変化を選ぶ場合、▲7七飛の受けを覚えておく。

となります。

以上、何かのお役に立てたなら幸いです。ここまでお読みいただき、ありがとうございました!