yamasan-sy’s diary

将棋や資格取得、資産運用などについて、書いていこうと思います。

奇襲対策 嬉野流にお困りの方へ

奇襲対策の第2弾です。今回は嬉野流を取り上げます。鳥刺しと呼ばれる攻めと、初手6八銀、3手目7九角という独特な出だしが特徴ですね。今回も本間先生の著書をベースに、水匠4による検討を加え、嬉野流対策を見ていきたいと思います。

 

嬉野流成功図

初めに、嬉野流の成功図を見ていきます。手順は本間先生の奇襲破り事典をそのまま使わせて頂きました。

 

結論から言うと、3手目▲7九角の時点で、評価値は130点ほど後手に触れています。それが35手目▲3四飛まで行くと、220点ほど先手に触れています。後手としては相手がくれたリードを吐き出したことになりますし、何より相手の土壌に乗せられた感がマッハで、気持ち的には既に押され気味かもしれません。反撃しようにも、こちらは攻め駒が立ち遅れてます。嬉野流の攻めの速さを感じますね。

 

後手の応対はいったいどこがマズかったのでしょうか。まず目につくところは12手目の△8二飛ですね。飛車がすぐ狙われる筋はありませんので、ここで引く必要はありません。また、相手の銀をすんなり五段目まで出させてしまっては基本的にダメとしたものです。棒銀だろうと斜め棒銀だろうと鳥刺しだろうと、銀を五段目に出してはいけません。

 

 

①嬉野流対策 居飛車

ここから対策編。まずは居飛車から。

11手目▲8八歩まではこれまでと変わりませんが、次の12手目がポイント。先ほどは△8二飛と飛車を引きましたが、実際は引く必要がないため、ここで居座って△4二銀とします。以下18手目までババっと進みますが、先手はここで2つの手段があります。1つ目は嬉野流を目指す▲5六歩、2つ目は飛車を追い返す▲8七歩です。

最初に▲5六歩への対応を見ていきます。こちらは本間先生の著書に手順が書いてあるので、それをベースに解説します。

▲5六歩にはありがたく△同飛と頂戴し、相手の半ば強引な鳥刺しに対しては、飛車を引かないまま、26手目△4五歩が好手で、同銀なら上記のように進み、次に8六歩からの十字飛車が決まります。ですからこの歩は取らずに▲5七銀とする手が勝りますが、こちらは△7二銀とし、▲8七歩に△8二飛として、1歩得を主張してゆっくりした展開にすれば良さそうです。

2.▲8七歩(19手目からの分岐)

次は▲8七歩を見ていきます。評価値的にはこちらが最善手です。対して飛車をどこに引くかが、早くも考えどころ。8二も1局ですが、8五に引いて鳥刺しを牽制するのも有力。今回は8五に引く方を見ていきます。

先手の方針は、後手の飛車を追い返してから攻めようというもので、7六歩や7七桂がその具体的な手です。後手の構えは、左側は雁木っぽく、右側は右玉っぽく見えますね。

△5二金とした局面は先手にいくつか手があります(しかし評価値は200ほど後手に触れてます)。ここではシンプルに角交換する順を調べます。

角交換には、平凡に歩で飛車を追い払ってからの△5四角がきつい1手。8七の地点が受けにくいんですね。

なお、角交換やそれ以外の手も含め、総じて先手の6六の銀が動けば、桂頭攻めがあることを意識しつつ対応するようにすると良さそうです。

 

②嬉野流対策 振り飛車

続いて振り飛車による嬉野対策を見ていきます。振り飛車による対策といっても複数ありますが、今回ご紹介する対策は、将棋youtuberのクロノさんの動画にもある3二金型向かい飛車です。僕も普段はこれで対策してます。あくまで一例ですが、手順をざっと見ていきましょう。

とりあえず24手目くらいまでを見ていきます。先ほどの成功図は鳥刺しで2筋を攻められてしまいましたが、今回は向かい飛車なので、成功図33手目▲2四同飛が出来ないことが分かりますね(△同飛と取ることが出来る。)。

 

これがこの対策のポイントで、左辺を飛車角金銀で守って急戦を防ぎ、右辺は片美濃(穴熊でもOK)に囲うのです。方や先手は玉の近くに守り駒が金しかいないので、堅めようにも堅められないわけですね。こうして玉形差を作っておくと、捌き合いになったときに互角以上に戦うことが出来ます。

 

なお、8手目△2二飛と回った時点で水匠4の評価値は+14となり後手のリードは吹き飛んでますが、ソフトは振り飛車を基本評価しませんので、これしきのことでめげてはいけません←

 

さて、24手目以降の相手の指し方もいろいろありますが、今回は素直に鳥刺しを敢行してきた場合を見ていきます。▲3五歩には△同歩とする手もあるようですが、2四歩と反発してみます。手が進んで33手目から銀交換されてしまいますが、36手目△3四銀と銀で角をはじいてから、2五銀と歩得していきます。

 

39手目▲2四歩は注意しないといけない手です。こちらの対応は①2六歩②2四同角があります。一見①が安全に思えますが、2六歩に対しては▲1七桂が厄介です(変化図参照。ちなみに局面下部が後手番です。shogipcだと盤面反転させられないんですよね…)。

 

(変化図は1七桂まで)

これは相手の桂馬を捌かせてしまうので、戻って2四歩には同角とします。50手目まで進んだ局面は250点ほど後手に触れています。まだまだ簡単ではありませんが、鳥刺しにつぶされる展開は避けられていると思います。

 

今回は以上になります。次はパックマンか鬼殺し辺りをやりたいと思うので、またお読みいただけると嬉しいです。ありがとうございました!