yamasan-sy’s diary

将棋や資格取得、資産運用などについて、書いていこうと思います。

奇襲対策 筋違い角にお困りの方へ 

パックマン、嬉野流、鬼殺し、筋違い角など、奇襲に苦しめられている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう僕も大いに苦しめられています笑 ちゃんと受ければこちらが良くなるのに、それが出来ず負けてしまう。その理由は、①その奇襲は相手の得意戦法である(相手の土壌である)②自分がその戦法の定跡を知らない、からだと思います。

 

そこで今回は、奇襲の代表格でもある筋違い角対策を、本間先生の奇襲破り事典”をベースに、水匠4の検討を加える形で行っていきたいと思います。

 

はじめに 筋違い角を打たれた時点の評価値

そもそも、筋違い角を打たれた時点では、AIはどのような評価を下すのでしょうか。

※なお、今回は先後逆での局面表示になります。つまり、局面上部が先手、下部が後手ということです。盤面を反転できればベストでしたが、shogipcだとうまく出来ませんでした…。

 

この局面が筋違い角の基本図になります。この局面における水匠4の評価値は、-244と後手(つまり局面下部)に触れています。わずか5手でこのリードは大きいのですが、それ以上に気持ち的に嫌な感じがするのでしょう、うまく対応できず負けてしまう、ということがあります。ではどうすれば良いのか。ここからは対策手段を見ていきます。

 

対策編

振り飛車での対策は難しい

居飛車を指し慣れていない場合、やはり振り飛車で応じたくなるもの。しかし結論、振り飛車では対応が難しいのです。棋譜で確認しましょう。ちなみにこっちは盤面反転出来ました^^;

基本図以下、6二飛から4二飛でなんとか振り飛車にしようとしますが、7二銀が自然に見えて微妙な手で、23手目3八金と上がった図は、相手の攻め駒がこちらの急所に利いています。

 

一方こちらは飛車しか攻めに利いておらず、銀や桂馬が立ち遅れています。加えて飛車を途中下車した手損もある。水匠の評価値も+416で先手に触れています。

 

どうしても振り飛車にしたいなら、7二銀ではなく8二銀とし、後に美濃に組み替えて戦うことを本間先生は仰っていますが、「得策とは思えない」とも仰っています。

 

②筋違い角には腰掛け銀

水匠推奨(注:ギャグではありません)は、基本図から7二銀です。以下3四角には3二金として、後手は腰掛け銀+矢倉の構えを作ります。先手は四間飛車+美濃囲いの構え。中盤までの棋譜を以下に示します。

これはあくまで一例です。ちなみに54手目までの評価値は-260~300となっています。

 

ポイントは(たぶん)以下の3点になるでしょうか。

①基本図で既に200以上形勢は良いので、ゆっくり指す。相手が一方的に角を手放しているので、角打ちを気にせず駒組できる。

②腰掛け銀を作り、相手の角を圧迫できるようにしておく。

③狙い筋の1つは、4三に角を打ち、5四の銀と連動させて相手の6,7筋を攻めること。なので、矢倉に囲うときに金は4二に上がっておく。

 

③8四角で相手の思惑を外す

もう1つ、面白い対策を紹介します。これは本間先生の本にも載っている対策で、8四角と打ってこちらの土俵に引きずり込もうという手段です。”売られた喧嘩は買うしかねえ!”という、血の気の荒い方にオススメです笑 本では18手目までしか手順が記されていないので、水匠の力を借りて、それ以降も含めた棋譜を載せます。

…ちょっと見ない形になってますね笑 40手目までの評価値は+30と互角ですが、後手が先手の攻めを受ける展開になってます。あとどうでも良いですが、後手の3~5筋にかけて階段みたいなのが出来てますね(3三銀→4四歩→5五歩)。

 

こちらもポイントをまとめます。

①矢倉に組むのは腰掛け銀と同じ。ただし5二の金は動かしにくい。動くと7一角が生じるから。

②同じ理由で8四歩も突きにくい。7一角、9二飛、同角成、同香、8二角成がある。腰掛け銀と違い、相手が角を手持ちにしている分、駒組に制約はかかりそう

③こちらは飛車を手持ちにしているが、意外と打ち場所がない。打ち込みを狙うなら端(9筋)に狙いをつけるべきかもしれない。

④形勢自体は互角なので、しっかり受けられるかがカギ。

 

 

 

まとめ

以上、筋違い角対策として3つほど手段を見てきました。結論としては、

振り飛車は厳しい。

②筋違い角を打たせた時点でこちらがリードしているのだから、ゆっくり駒組をする(腰掛け銀+矢倉)。

③8四角もあるが、駒組は神経を使いそう。

 

となるでしょうか。

 

ここに挙げた棋譜はあくまで一例なので、実戦でこうなる保証はありませんが、何かの参考になれば幸いです。